明日の蒼の空
「あたしばかり話してごめんね。蒼衣ちゃんは聞き上手だから、ついつい話しちゃうのよ」
夏美さんが言ったとおり、私はよく聞き上手だと言われる。自分では聞き上手だとは思っていない。私は話し下手だから、どうしても聞き役になってしまう。
「拓哉さんのお話を、もっと聞かせてください」
別に夏美さんのご機嫌を取ろうとしているわけではない。ただただ聞きたいだけ。
「ううん。今夜はこのくらいにしておくわね。蒼衣ちゃんは、今日も絵を描いたの?」
夏美さんはビールを飲む手を止めて、私に聞いてくれた。
「はい。今日は、菓絵さんの似顔絵を描きました」
リビングのテーブルに置いておいたスケッチブックを広げて、今日の昼間に描いた菓絵さんの似顔絵を、夏美さんに見せてみた。
絵が上手なひばりさんと菓絵さんには恥ずかしくて見せられないけど、夏美さんになら見せられる。
「すごくカラフルな似顔絵ね。菓絵さんにそっくりよ。蒼衣ちゃんは本当に絵が上手ね。きっと、絵心があるのね」
夏美さんは私が描いた絵をいつも褒めてくれる。
画家でも何でもない私が言うのもなんだけど、夏美さんはあまり絵が上手ではない。
夏美さんが描いた絵を初めて見たとき、ふざけて描いているのではないかと思ったくらいだから。
あのとき、夏美さんは「これでも真剣に描いたんだよ」と言っていた。あまり絵が上手ではない人から見れば、私の描く絵は上手に見えるのだと思う。
夏美さんが言ったとおり、私はよく聞き上手だと言われる。自分では聞き上手だとは思っていない。私は話し下手だから、どうしても聞き役になってしまう。
「拓哉さんのお話を、もっと聞かせてください」
別に夏美さんのご機嫌を取ろうとしているわけではない。ただただ聞きたいだけ。
「ううん。今夜はこのくらいにしておくわね。蒼衣ちゃんは、今日も絵を描いたの?」
夏美さんはビールを飲む手を止めて、私に聞いてくれた。
「はい。今日は、菓絵さんの似顔絵を描きました」
リビングのテーブルに置いておいたスケッチブックを広げて、今日の昼間に描いた菓絵さんの似顔絵を、夏美さんに見せてみた。
絵が上手なひばりさんと菓絵さんには恥ずかしくて見せられないけど、夏美さんになら見せられる。
「すごくカラフルな似顔絵ね。菓絵さんにそっくりよ。蒼衣ちゃんは本当に絵が上手ね。きっと、絵心があるのね」
夏美さんは私が描いた絵をいつも褒めてくれる。
画家でも何でもない私が言うのもなんだけど、夏美さんはあまり絵が上手ではない。
夏美さんが描いた絵を初めて見たとき、ふざけて描いているのではないかと思ったくらいだから。
あのとき、夏美さんは「これでも真剣に描いたんだよ」と言っていた。あまり絵が上手ではない人から見れば、私の描く絵は上手に見えるのだと思う。