聖なる夜にくちづけを。
いつまでもここにいる訳にもいかない。
ため息は闇に吸い込まれ、寒い我が家へと足を踏み入れる。
すぐに電気をつけ、暖房をつけ、着ていたコートをハンガーにかける。
手洗いとうがいを済ませて、そのままの勢いでコンタクトを外し、メイクだけ落としてしまう。
顔を洗うと少し酔いも覚めてきた。
もともとそんなにお酒には弱くないけれど、さすがにやけ酒だと飲みすぎた感があったので、いつもよりも思考が緩く、考えがまとまらないというか本能に忠実というか。
ぼんやりと思うのは、今、一人で部屋にいると寂しいということ。
お風呂に入る前に、ちょっと温かいものでも飲みたい。
ハーブティのティーパックを取りに流しへ向かうと、朝残してしまった洗い物がそこにあった。
そういえば今日はイマイチやる気がでなくてそのまま置いていったんだった。
独り暮らしの寂しさを、誕生日の夜に痛感するなんて。
しかたがないと分かっていても。
「せつな……」
口に出してしまえば余計にわびしく、洗い物を済ませた。
ハーブティを淹れようと思ったけれど、なんだかそんな気分でもなくなった私は冷蔵庫からお水を取り出した。
コップに注がれた透明の液体は、なんの混じりけもなく、すんなりと私の体に入ってきた。
透明だったんだよね、もともとは。
心がお水のように混じりけ無く透き通っていた。
好きという純粋な気持ちはそこに茶葉を足したようなもので、ゆっくりと広がっていく。
流れる年月と共に味が出てくる。
重ねた歳の分だけ旨味も苦味も出てくると、やがて美味しいお茶になるけれど……。
そのまま放っておくと、美味しかったはずのお茶もやがて渋くなる。
美味しい時期を通り越してしまったこの恋にいつまでもしがみついているからこんな風に苦しくなるのかな。
いっそすっぱり切り替えることができたなら……。