いちごとカルーア【完】
「大丈夫? 聡美、飲みすぎたんじゃない?」
「んー……」
頭、ガンガンする。
こんな可愛いお酒なのに、さては度数は全然可愛くないな……?
あれ、なんの話だっけ。
「おーい。聡美、大丈夫?」
「ぅ……ん、ごめん、あ、ん、だいじょーぶ」
呂律回ってない? あれ、おかしいな。私、そんなに飲んだっけ。飲んだわ。お水もろくに飲んでなかったし。猛烈な眠気。だめだめ私。寝ちゃだめじゃん。
せっかく会えたのに、崇哉がいるのに。
重くなる瞼に必死に抗ってぼやける視界の中で崇哉を探せば、いつの間にか私の隣の席に移動してきていた彼の大きな手が、私の背をさすり、それから肩を抱いた。
ぼんやりした意識と視界の中でも、崇哉の温もりだけははっきりと分かる。触れられた部分がじわりと温かいから。
「聡美」
「……え?」
「出よ、どっかゆっくり休めるとこ探そ」
意識が途切れる前、崇哉が私の耳元で囁いた声が低くて、左耳にかかった息の生暖かさがリアルで、ぞくっとして泣きそうになった。