いちごとカルーア【完】
……もしかして私、最初から、崇哉に会いたい、あわよくば付き合いたいって、思ってたかも。
だって好きなんだもん。
会うだけでいいって思ってたのに、欲張りすぎだろうか? 考えだすと、自分が何を思って崇哉を今日誘ったのか、分かんなくなる。いや、自分の本当の気持ちが分かってしまったことが、問題?
「聡美は?」
「……え」
「彼氏、いるの? 今」
崇哉と目が合う。彼の目が少しうるんでるように見えて、あ、エロいって思った。
……崇哉も酔ってる?
動揺してるのが悟られないように、グラスを握り直してお酒を煽った。
「……いないよ」
「ふうん」
いたずらっ子のように少し口角を上げた崇哉の表情は、高校時代付き合ってた頃によく見たそれで、懐かしさとか愛しさとかで心臓がきゅうっとなった。
崇哉。
私、崇哉と別れてから、好きな人なんてできなかったよ。
そりゃ、あれから何人かと付き合ったりもしたけど、やっぱり崇哉がいいってずっと思ってた。
崇哉はどう思ってたんだろう。私のこと。今はどう思ってるんだろう。
崇哉もあの頃が一番楽しかった、私が一番だったって、思ってくれてたりしてないかな?
その笑みはどういう意味なの?
ん、ん、ん……。
「……あたま、ぐらぐらする……」
このお酒、甘くて飲みやすいけど、相当強いんじゃないか……?