いちごとカルーア【完】
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「私たち、付き合えない? かな?」
意外とすんなりと自分の口から出て行った言葉は、こちらに背を向けてスマホゲームに勤しんでいた崇哉に届いたのか届いていないのか、返事はされなかった。
その時点で、良い答えはもらえないんだなと悟る。
自分たちの衣類、下着の散らばる広いベッドの中で、私たちの距離はこんなにも遠い。
高校時代は、1年以上も付き合ってやっと短いキスを数回交わしただけだったのに、4年ぶりの再会で大切なこと全部をすっ飛ばして、私たちは大人でいる。
あの頃は子供だったんだなって、今になって思う。
「……聡美さ」
「え?」
真夜中は終わって、外は徐々に明るくなり始めている。崇哉は私を慣れた感じでこのホテルに連れてきて、お互いそうするのが正しいと信じて疑わずに体を求めた。私の酔いはとうに冷め、幸い頭の痛みもひどくない。
「本当は酒、そこまで弱くないだろ」
「……え」
体は返さず、頭だけをぐりんとこちらに向けて私を見た崇哉は、あの悪戯っ子のような表情で笑う。