いちごとカルーア【完】
「……どうして分かったの?」
「酔った演技が下手すぎる」
「……えぇー、うそ、……なんか恥ずかしい」
なんだバレてた?
たしかに、そんなに強いってわけじゃないけど、カクテル三杯弱じゃ、意識が飛ぶほどは酔えない。
多分、崇哉は、お酒があまり得意じゃない子の方が好きなんじゃないかと思って、若干崇哉のタイプに寄せようとしたのと、都合よく、お酒に酔った勢いで告白できたり、一晩一緒にいれたりしないかなって、計算したのも事実だ。
「まあ、演技って分かってて、聡美のことここまで連れてきてやることやっちゃった俺も悪いけど、……ごめんね、誘われてるようにしか思えなかったから、あのまま帰すのも失礼かなって思って」
「……」
「……聡美って、俺と付き合いたいの?」
ちょっと強張ったような、困ったような曖昧な表情で私を見た崇哉に、ぐっと心臓が痛む。
フラれた。
「……ずっと忘れられなくて、崇哉のこと」
「うん」
「好きだったの」
やることをやってしまった後だからか、普段ならとても言えそうもない言葉がすらすらと出てくる。