いちごとカルーア【完】
変わってない、ってことは、もしかして今、彼女いない?
いや、期待は禁物。
ほのかに浮かんだ淡い期待を自らでかき消し、平静を装ったまま、カルーアミルクに口を付ける。
甘くて美味しい。けど、強いお酒だから、注意して舐めるだけ。
崇哉は私がお酒に弱いこと、知らないんだ。最後に会ったのは、地元の成人式の同窓会かな。私は一瞬顔を出してすぐ帰ったから、一緒にお酒を飲むのは初めてだ。
「聡美は? 最近どう?」
「私は、うーん、どうかな、言われてみれば、私も特に何も変わってないかも」
「ははっ」
大学を卒業して働き始めた、一人暮らしを始めた、でも私は何も変わってない。崇哉への気持ちは特に。