いちごとカルーア【完】
「けど、聡美、綺麗になったと思うよ」
「……え」
「垢抜けたっていうか、……あ、ちょっと痩せた?」
さらりと視線を落とし、私の体を上から下、下から上にと見た崇哉に、心臓の鼓動が高まる。
「痩せた……かな、痩せたかも、うん、高校の時より5キロくらい落ちてる」
「えー、マジか、俺なんてサッカー辞めてから8キロ太ったぜ」
「ん、ちょっと崇哉、ふっくらしたかなって、思ってた」
「あ、ひでー」
あ、好き。
ふっと笑った崇哉を見て、あ、好き。って思う。
私は別れた後も、ずっとあなたが好きだったよ。
お酒のせいか、体の芯がじわっと熱くなって、この人に触れたい、触れられたいって衝動的な感情が沸き起こる。でも多分お酒のせいじゃない。崇哉のせいだ。
でもまだだめ。きっとだめ。崇哉はそんなつもり微塵も感じさせてくれない。己の欲望を打ち消して、また全然減らないグラスに口をつけた。