いちごとカルーア【完】
「聡美、何飲む?」
「えっと、んー、」
「ここの店オリジナルの美味しいカクテルあるんだけど、それでいい?」
「あっ、うん、ありがとう」
崇哉が注文に行ってくれて、程なくして席までお洒落なグラスに注がれたカラフルなカクテルが運ばれてきた。
キラキラして綺麗。夜空みたいな色のお酒。
「かわいいね、……あ、しかもおいしー」
「でしょ? ここのカクテル、女子ウケするかわいーのが多いの」
「……よく来るの?」
「……たまにね?」
「もしかして、女の子と? ……彼女とか?」
「彼女なんていないよ」
勢いで聞いてしまった自分にドキドキしたものの、即答された崇哉の言葉に安堵した。
と同時に、女の子とって部分への否定が入らなかったことにがっかりして、自分でも驚くほどショックを受けた。
いや、ネガティブになっちゃダメだ。彼女がいないことを喜ぼうよ私。いや、そもそ別に私、崇哉の彼女になりたいとか、よりを戻したいとか考えて今日、崇哉を誘ったんだっけ? 違ったはず。
私が今日、崇哉を誘ったのは、もちろん崇哉のことが別れた後もずっと好きで、忘れられなかったからなんだけど、そこに、崇哉ともう一回付き合いたいとかっていう欲望は、あらかじめ持ち合わせていなかったはず……。
ただ、会いたいって、思ってただけなはず。
……そうだっけ?