熱愛系エリートに捕まりました
上映が終わり、照明がついて明るくなった。

立ち上がった薬師丸さんに手を差し出され、引っ張られるようにして立ち上がる。


「瞳子、目が真っ赤!」

「だって……」

「まぁ確かに、ラストは感動したよね。周りの女の人もほとんど泣いてる」


からかうように笑った薬師丸さんは、周囲を軽く見渡して言う。

時期と内容から、観客のほとんどが女性の数人連れかカップルだった。


カップル客の多くは、女の人が泣いていて、それを男の人が笑って慰めている。

わたしたちも、傍(はた)から見たら同じように見えるのかしら…


そのまま手を引かれて、薄暗い通路を通ってシネマを出る。

もうすっかり彼の手のひらの感触にも慣れてしまった。
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