熱愛系エリートに捕まりました
その後はショップエリアをぶらぶら回った。

わたしはベレー帽、薬師丸さんは革のブレスレットを気に入ったので、お互いへのクリスマスプレゼントにした。

その場で買っただけだから、ラッピングも何もないけれど…


今まで薬師丸さんには、食事以外でお金を出してもらうことを避けてきた。

だからこれは、初めて彼に貰ったもの。


形のあるものを残すことに躊躇いもあったけど、彼とのことを忘れてなかったことにしたいとはもう思わない。

そうでなくとも、薬師丸さんと一緒に選んだ香水とか、一緒に行ったレストランとか。

思い出ならもうたくさんあるから、一つくらいは何か貰うのもありかなと思ったの。


「そろそろ出ようか」


屋外通路に出て、空を見上げて白い息を吐き出しながら薬師丸さんが言った。

もう16時近い空は色が薄くなっていて、着実に夜の気配を匂わせている。
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