熱愛系エリートに捕まりました
すると薬師丸さんはハッとして体を引き、口元を片手で覆って顔を背けた。

眉間に皺を寄せて罰が悪そうな表情で、いかにも「しまった!」と言いたげな…


「…仕方ないだろ。猫被ってでも瞳子を落としたかったんだから」


不貞腐れたような声音でボソッと呟いた言葉は、しかしちゃんと聞き取れた。

でも、その内容はよくわからない。どういう意味なの?


「えー、と?」

「あー、クッソ…やっぱりあのとき欲に負けるんじゃなかった…」


首を傾げていると、苛立ったようにガシガシと頭を掻く。

そんな乱暴な仕草は初めて見たけど、それは甘いマスクに不思議と似合っていて。

乱れた髪の隙間から覗く相貌が、肉食獣のような鋭さでひたりとわたしを見据えた瞬間、ドキッと胸が高鳴った。
< 164 / 217 >

この作品をシェア

pagetop