熱愛系エリートに捕まりました
周囲はそのやり取りをどこか他人事のように眺めるばかりで、誰も関わろうとはしない。

つい数秒前まで俺もその一員だったのに、自分のことを棚に上げて、その状況に愕然とした。

…いや、正確には、他でもない自分自身がそういう連中になりかけたことにショックを受けたのだ。


それでも遠くなりそうな意識を何とか引き戻して加勢しに行こうとしたとき、また別の男性の声が聞こえた。


「俺も見ましたよ、あなたが痴漢行為をしていたところ」


勇敢な女性のさらに隣に立っていた黒髪の若い男が、痴漢を逃さないように腕を掴む。

女性ならまだしも、男性に捕まっては痴漢もこの人の海の中でもがくこともできず、焦りで赤くなっていた顔が青くなった。


「口出ししてすみません。大丈夫ですか?」

「い、いえ…ありがとう、ございます…」
< 170 / 217 >

この作品をシェア

pagetop