熱愛系エリートに捕まりました
女性は痴漢を男性に任せ、それまで呆然としていた被害者女性に寄り添った。

被害者女性は涙を浮かべたまま、ハッと我に返った様子で小さく頭を下げる。


「次の駅で降りて、駅員さんに警察を呼んでもらいましょうか?」

「………」


気遣わしげな眼差しと声に、被害者女性は俯いて、すぐには答えなかった。

警察が介入してこれが刑事事件になれば、事はそう簡単には済まなくなるのはわかっているから、迷っているのだろう。


「大丈夫、わたしたちも付き添いますし、証言だってしますよ」


女性は被害者女性の心中を察したように、優しく笑ってみせた。

それから、「ねぇ仲村」と痴漢を抑えている黒髪の男を見上げた。

この二人は知り合いだったのか……
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