熱愛系エリートに捕まりました
「っ瞳子!」

「きゃぁっ」


突然ガバッと覆い被さるように抱きつかれ、勢い余って後ろにひっくり返った。

狭くはないソファの上に押し倒されたまま、ぎゅうぎゅうと痛いくらいの力強さで包み込まれる。


「好きだ、好きだ瞳子。やっと捕まえた。二度と離さない!」

「…ふふふっ」


首筋に埋められた顔から、くぐもった声が聞こえる。

その子どもみたいな仕草と言葉に、タックルで呆気に取られていたわたしは我に返り、笑いが込み上げた。


「わたしも好きです、…蒼士さん」


彼の体の下でもぞもぞ動いて両手を抜き出し、それを見た目より広い背中に回しながらふと思いついて、初めて下の名前を呼んでみた。
< 187 / 217 >

この作品をシェア

pagetop