熱愛系エリートに捕まりました
すると、今度もまた突然ガバッと起き上がるものだから、せっかく回した腕が外れた。

ソファの座面に両手をついて身を起こす彼と、その下で影に収まるわたし。


「…今…」

「ダメ…でした?」


無表情で見下ろされて、身が竦む。

名前呼びはタブーだったのかしら…


「…もっと呼んで。さん付けはなしで」

「えっ、あ……そ、蒼士?」


テンパりながら言われるがままに呼ぶと、一呼吸置いてから蒼士の顔がほにゃっと緩んだ。

その表情があまりにも甘やかで、こっちの体温が上がる。


「瞳子に名前で呼ばれるのが夢だった」


そう言った蒼士はもはや蕩けていて。
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