熱愛系エリートに捕まりました
真実を突きつけられて幻想を砕かれて、ショックで言葉も出ないのね。


そして、自分じゃ楓には勝てないと悟り、薬師丸から身を引く。

冷静になった彼は楓の可愛さに気づき、愛してくれるのだ。

そんなシナリオを信じて疑わない楓は、勝ち誇った顔を浮かべていたのだが。


「お話はそれだけでしょうか?」


楓の想定では、女のリアクションは泣くか、恥じ入るか、怒るかのいずれか。

いずれも最後には敗北を噛み締めて、背を向けて逃げ出すはずだった。

しかし実際は、毅然として正面から楓を見据え、冷静に対応してきたのだ。


女が動揺していないことにやっと気づいた楓は、そのことに動揺させられた。

想定外の事態に対応できず、まるで負け惜しみのように捨て台詞を吐き、自分の方が背を向けて去ることになったのだった。
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