熱愛系エリートに捕まりました
海を望む町の公立高校じゃ、香水をつけている子なんていなかった。

ピアスを開けたり髪を染めたりはしても、目で見えない要素はお手本がなかったから。


電車で片道1時間かけて名古屋まで行けば、そりゃあいろんなお店があったし、地元の方にもそれなりにショッピングモールなんかはあった。

でも香水を売ってるのは比較的高級なフロアの化粧品売り場で、高校生が気軽に手を出せる領域じゃなかったし。


だから東京の大学に進学して、同級生たちからいい香りがしたときには本当に驚いた。

そのせいで今でも香水は都会慣れした人がつけるものっていう勝手なイメージを拭えなくて、実際に手に取ってみる勇気も出なかったのだ。


「なるほど。俺は東京育ちだけど、とくにつけたことないけどね。変に身構えずに自分の好みで選べばいいんじゃないの?」

「それが難しいんですよ…まずどんな種類があるのかってところからだし」

「実際に嗅いでみればいいじゃん。誰だって初めて使う香水を買うときはそうするものじゃない?」
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