君の世界に彩を。
私は結局、一晩中泣きじゃくっていた。
私はこのまま死ぬのかな、とか考えたりして。
今何時かな。朝だとは思うけど。
ぼーっとしていると、もう聞き慣れた、扉が開く音が響いた。
あー、お母さんかな...。
「颯っ!悪ぃ、遅くなった!」
え?誰?
「『誰?』とでも言いたそうな顔してんなー!俺だよ、真白。」
「え、ま、ましろ??」
何で真白が?
「颯が事故に巻き込まれたって聞いて、すぐにでもお見舞いに行きたかったんだけどさ、部活がどうしても休めなくて。ごめんな。」
「ああ、そう...。別にいいけど。」
私に友達なんていないと思ってた。
でも真白だけは私を見捨てていなかったんだ。
なんだか嬉しかった。
「ここ、座っていいか?」
真白が私のベッドの端をペシペシと叩いた。
「うん、いいよ」
「あ、そーだ。さっきそこで颯の母さんに会ってさ、これ、おにぎり渡しといてっていわれたんだ。ここの机置いとくからな。食べたくなったら言えよ。」
お母さんが...
「あ、ありがとう。」
「...あのさ、颯。気を悪くしないで欲しいんだけど、やっぱ...怖いか?」
真白は本当に気遣っているようで、恐る恐るといった感じで聞いてきた。私が目が見えないのは知ってるんだ。
「んー、怖くないっていったら嘘になるけど、もう慣れたから。」
私は真白を心配させまいと、なるべく明るく答えた。
「そうか!颯は偉いなぁ~」
真白はそう言って、私の頭をクシャッと撫でた。
真白に撫でられるのは慣れてるからいいけど、昔は私がお姉さんみたいに真白のことを引っ張ってってたのに、いつの間にか立場が逆転してる。だからちょっと恥ずかしい。
まあ、そんなことは置いといて。
「ところで真白は今日部活休みなの?」
「まあな。明日からはまた部活再開するけど、日が短くなったせいで部活の時間も短くなったから、部活終わりに毎日顔出すようにするよ。」
「えー?別に毎日来なくてもいいよ。真白も忙しいでしょ?」
「いや、いいんだ。そのかわり──」
「そのかわり?」
「俺と一緒に、リハビリ、頑張ろ?」
真白の吐息が頬を撫でる。
きっと、私の顔を覗き込んでいるんだろう。
「真白...」
< 11 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop