君の世界に彩を。
「ごめん、真白。それはできない。」
私の答えに、真白が息を呑むのが分かった。
「何でだ?リハビリしねぇと学校も行けねぇぞ?」
「私にリハビリをさせるようにって、お母さんから頼まれたんでしょ?何で真白までお母さんの味方するの?私、リハビリなんてやりたくないって言ったじゃん!」
あ、しまった。言い過ぎちゃった。真白は関係無いのに...。
謝ろうと思った矢先、
「ごめん。」
という真白の声と同時に、ギュッと抱き締められた。
「まっ、ましろ...?」
「ごめん、颯...。俺はただ、真白に学校復帰して欲しくて...颯の気持ちも知らずに...」
真白が私の体から離れる。
その途端、かああっと体温が急上昇した。
わ、私今、真白に、抱き締められた...??
あらためて思うと、めっちゃ恥ずかしい...。
だが、そんな私をお構い無しに、真白は話を続ける。
「なあ颯、何でそんなにリハビリが嫌なのか、教えてくれないか?」
「...えっ?あっ、ええっと...」
ヤバイ、恥ずかしさでぼーっとしてた。
真白は昔から能天気なお人好しで、こういうのはあんまり気にしなかったもんな...。
「やっぱり言いたくないか?」
「いや、いいんだけど...。」
私はなんだか言いにくさを感じながらも、お母さんに言ったことと同じ事を真白に話した。
真白は聞き終えると、そうか、と頷き、黙ってしまった。
しばらくの沈黙の後、真白が静かに口を開いた。
「...お前はひとりじゃないよ。」
え?
「確かに颯の目は治らねぇかもしれないけどさ、それでも俺は颯に学校に来て欲しいんだ。俺だけじゃない。颯の母さんと兄さんもそうだ。」
「真白...」
真白達は私の事こんなにも考えてくれていたのに、私は真白達の事を全く考えていなかった。
私...私...
「真白、私、リハビリやるよ。」
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