食わずぎらいのそのあとに。
チケット予約した映画を見て、涙腺が緩んでいるらしくアクションものなのに感動シーンでかなり泣いてタケルを驚かせた。

意外と体調がいいから、2人でぶらぶらして初めての妊娠ガイドみたいな本を何冊か買って家に帰る。

全く知らないことを調べるには、ネットに頼るよりも本を何冊か一気読みする方がいい、と言うのがタケルの持論だ。



考えなくちゃいけないことが山ほどあることに気づいて、ソファに並んで話す。

私が何も言えず泣いたことも、タケルが昨日飲んで荒れてたってことも、全部なかったことみたいに、淡々と。

これ以上話し合ったって仕方ないことだもんね。『ちゃんと話せ』って田代さんに言われたようにはできてない自覚はあるけど。

結婚しようって言ってくれた。前から考えてたって言ってくれた。たぶん優しい嘘だけど、それでいいよね。



あ、そういえば。私ってプロポーズへの返事が、朝ごはんの時に「結婚するんだよね?」「はい」って言ったあれだ。

一生に一度のことなのに。あれか。

ため息をついたら、タケルにも聞こえてしまったらしい。

「どうした?」

「なんでもない」

「香。そうやってため込まないで、話そうって言ってるんだけど」

「ごめん。じゃあ、もうちょっと考えてから話す。まだ整理できない」

うそ。もう1回言ってとか言えるわけないし。いいのいいの。そういう細かいこと全部気にしないことにしよう。

ちゃんと幸せになろう。幸せにしてあげよう。残念だけど、しかたないよ。


< 26 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop