ビルに願いを。
コーディング作業とは別に、写真を撮りに週末になると丈と2人で出掛けた。
一歩外に出ると、丈の厳しさは消えてリラックスしているのがわかる。
新しいのも古いのも、お互いに映画をかなりたくさん見ていることもわかってきた。ずっと仕事関係ばっかりの人かと思ってたのにな。
「DVDで?」
「古いのはね。ほとんどは映画館」
「引きこもりのくせに」
「好きでこんな暮らししてるわけじゃない」
調子に乗って言った言葉に、意外と拗ねたような答えが返ってきた。
「やさぐれてるね」
「今はそうでもないよ」
今度は笑うような声に顔を見ると、意味ありげに目を覗き込まれた。
からかわないでよ。
たくさんの映画を誰と見てきたのかはお互いに聞かなかった。彼はきっと映画館でケイティと。私はほとんど圭ちゃんがいない家で、1人で。
「疲れた?」
と聞いては丈は手を取る。疲れてるはずないのに、私も逆らわずに手を引かれつつ話した。
ダメだと頭でわかってても、気持ちが止まらなくなるのがわかってた。
相変わらずのバカだ。圭ちゃんにも麻里子さんにも警告されてるのに。