見上げれば、青
「―――の、?」
「え?」
「、あんたに私の、何が分かるのっ?」
さっきまで黙ってた私がいきなり声を発したことによって、鳴海くんは黒目がちの目をまん丸にさせながらこっちを見てる。
私の頭の中には、今までのことが巡っていた。
いじめられてた訳では、ないんだ。
だけど、皆同じを求められて、同じことが良いとされて。
何をするにも、何を持つにも一緒。
トイレに行くのさえ、皆一緒で。
そんな生活が息苦しくなった。
自分が誰なのか、分からなくなってしまった。
結局私が、私じゃなくても。
世界は今まで通りに進むのだと、気付いてしまった。
「っ、何が…、何が分かるのっ」
この時の私は、鳴海くんに八つ当たりしていた。
その自覚も少なからずあった。
でも降り積もっていた感情が爆発したことで、もう歯止めが利かない状態になっていた。
いっぱいいっぱいになっている自分。
誰も気付いてくれない凍える私。
ずっと待ってた救いの言葉。
色んな感情が駆け巡って、涙が出てきた。
視界がどんどん歪んでいく。
救済をくれた、——初対面の君。
「わ、私はっ、今までずっと…っ」
もう、訳が分からなくなっていた。
自分が何を口にしているのかも、あんまり分かってなかった。
涙で視界が霞んで、目の前の人の表情が見えない。