見上げれば、青


「どうせ、私なんてっ、」


ここに居続けることが辛くなってきて、初対面の人の前で泣いている自分が情けなくて。
この場から離れようと、屋上を出ようと立ち上がった。

――と、その瞬間急に、身体中が冷える感覚。

呼吸が詰まる。息が、吸えない。

足元がぐらついて、きちんと立っていられない。
目の前が眩んで視線が定まらない。

え?目の前がぐるぐるしてる。
気持ち悪い。気持ち、わるい。

気付いた時には、全身に力が入らなくなってしまっていて。
視界がぐにゃりと歪む。


(どうしようっ、)

その時にはもう、足の踏ん張りも利かなくなってて。
眼前にはアスファルトが広がって。


――目の前は真っ暗になった。








冷たい風が、頬を撫でる。

あれか。遂にここは天国か。

いや、私が行くなら地獄か。


そうしている内にゆっくりと視界が開けて、それと同時に一、二度まばたきをしてみる。

広がるのは、白い景色。

白い…、天井?


鼻をくすぐる独特な香り。

(そうか、…)

鼻をさす消毒液の香りで、自分が今保健室にいることを知った。


たぶん私を覆ってる柔らかいものは布団だと思う。
私は今、保健室のベッドに横たわってるんだと思う。

(どうして?、)

何故、こんなオアシスみたいに涼しい保健室に、私はいるんだ。

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