見上げれば、青


布団の中で丸くなりながら、ゆっくりと辺りを見渡す。
私が頭を動かすのと一緒に、布擦れの音が静かな空間に響いた。


「…水野、さん?」


ベッドの周りにある薄ピンクのパーテーション。の奥、から聞こえてきた澄んだ声。


「起きた?」


パーテーションの隙間から顔を出したのは、――鳴海くんだった。


「先生は、今会議行ってるよ」


少しだけ顔が見えるその場所で、柔らかく表情を崩す鳴海くん。
私はそれを、布団にもぐりながら見てた。

この人はなんで、こんなにも穏やかに笑えるんだろうか。


「いきなり倒れるから、びっくりした」


そう言いながら、私に背中を向けてしまった。
薄ピンクの間に映える、真っ白なカッターシャツ。

どこかに行くのかと思いきや、その場で私と話をしてくれるようだ。


「熱射病だろうって、先生が言ってた。長い間屋上にいたからね」


そっか。
私は屋上で、倒れたのか。

あの日差しの中、水分も取らずに数時間いたんだから当然といえば当然だ。
屋上から照り返す光も、相当な負担になっていたはず。

だけど、私が今保健室にいるってことは、


「鳴海くんが、……私を運んでくれたの?」


私のその言葉に鳴海くんの肩が少し揺れた気がした。

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