見上げれば、青


「どうしたの?」

「え?」

「溜め息、」


出そうになった。じゃなくて、出ていたらしい。

ちょっと動揺する。
その黒い瞳に、何かを見透かされているような気になった。


「、…鳴海くんもサボり?」


自分の気持ちを隠すように、適当な話題を探す。

彼のことは何も知らないけど、
授業をサボるような人には全く見えない。


「いや、俺は違うよ。今昼休みだから」


――今、昼休み……?


その言葉に一瞬、息が詰まる。


「、う、嘘!」

「な、なに?」

「4限サボったの、私!」


相当な時間を、私はこの灼熱地獄で過ごしていたらしい。
そりゃあ汗だくなのも納得できる。


「もうすぐ、昼休み終わるよ?」


そう言ってズボンの右ポケットを探る鳴海くん。
次に現れた右手には、スマートフォンが握られていた。

画面を確認している。


「うん。今1時15分だから、後5分で授業始まるね」


4限の授業だけサボって、その後は素知らぬ顔をして教室に戻ろうと思っていた私。
これでは、昼食を食べる時間さえ残っていない。


「弁当食べた後はだいたいこの屋上来るんだ。そしたら今日は水野さんがいたからさ。ここ入れる人、いないと思ってたから驚いた」

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