夫の真実
「美保さん、ご結婚なさったのよね。おめでとうございます。」
「ありがとう、静さん。結婚式には、友達が余り呼べなくて、失礼してしまったの。ごめんなさいね。」
「仕方がないわ。立場は、よくわかっています。いずれ、私も同じだろうし。お相手は、あの田代コーポレーションの要さんですってね。」
「そうよ。お見合いだけどね。」
「要さん、凄くもてたのよ。兄が、大学が一緒で、前からよく存じ上げているの。」
「えっ、そうなの?世間は狭いのね。」
「兄も、女性遊びをしたようだけど、要さんは、女性から言い寄られてばかりで来るもの拒まずだけど、本気にはならなかったのよ。でも噂ではね、ずっと続いている人がいたみたいよ。」
聞きたくない情報をどんどん話してくる静に困り果てている時だった。
携帯の着信があった。
要さんの携帯からだった。
てっきり要さんの声が聞こえてくるものと思っていたのに、聞こえてきたのは、女性の声。
「美保さんかしら?」
「はい、美保ですが、どちら様ですか?」
「私、一美(かずみ)といいます。はじめまして、奥様ですよね。要が、私の部屋に携帯を忘れて行ったので、届けようかなと思いまして、連絡したのですが。」
彼女の言葉が、私の心に突き刺さる。