夫の真実
ホテルに着いた私は、フロントで一美さんを呼んでもらった。
要さんと寝たかもしれない部屋に、入る気持ちにはならなかったから。
一美さんが降りてきて、ラウンジでお茶を注文した。
「さっそくですが、要さんの携帯は?」
「これよ。要のでしょ?」
たしかに機種は同じだが、中を見ないとわからない。
「渡していただけます?」
「どうしようかしら。奥様は、要と私の関係を知りたくないの?私たちもう長いのよ。」
「私は、要さんを信じていますから。聞きたいときは要さんに聞きます。」
きっぱりと言う私の態度に、驚いたような一美さん。
「あなた、見た目よりずっと強いのね。
そうね、要に聞けばいいわ。でも、男は、どこかで裏切っているものよ。信じないほうがいいわ。要だって例外ではないから。美保さん、うぶだから、簡単に騙されるわよ。」
「ご忠告、ありがとうございます。後は、私たち夫婦の問題ですから。」
私は、携帯を受け取り、中を確かめた。要の携帯に間違いなかった。
「ありがとうございました。」
と一礼をし、支払を済ませると、まっすぐ前を見据えて、歩いた。
一瞬でも、顔を下げたら、負けるような気がしたからだ。