夫の真実


病院に運ばれる間、頭の中でぐるぐると、今までの記憶が呼び覚まされていく。

要さんと一美さんは、何もなかった。

そのことが、嬉しくて、涙が止まらない。

今までずっと泣けずにいたから、その分も、涙が出てくるようだ。




病室で目を覚ますと、心配そうな要さんの顔。

「要さん!」


私は、思わず抱きついた。

要さんもぎゅっと私を抱き締めてくれた。

心の中に足りなかったものが、今、溢れるくらい充満していく。

私は、どうして要さんを忘れてしまったのだろう。

「美保、美保、ごめんな。辛い思いをさせてごめんな。」

要さんは、何回も何回もあやまり続けてくれた。
一応その夜、一晩入院をし、症状が落ち着いていたので、翌日は、退院できた。

その日から、私はマンションに帰った。

やはり、マンションの掃除は家政婦さんが週に2日来てもらっていたそうだ。

要さんが私の体調を考えて、もう暫く、来てもらうようにした。

本来の自分の居場所に帰って、私も穏やかに暮らし始めていた。
< 39 / 41 >

この作品をシェア

pagetop