夫の真実
病院に運ばれる間、頭の中でぐるぐると、今までの記憶が呼び覚まされていく。
要さんと一美さんは、何もなかった。
そのことが、嬉しくて、涙が止まらない。
今までずっと泣けずにいたから、その分も、涙が出てくるようだ。
病室で目を覚ますと、心配そうな要さんの顔。
「要さん!」
私は、思わず抱きついた。
要さんもぎゅっと私を抱き締めてくれた。
心の中に足りなかったものが、今、溢れるくらい充満していく。
私は、どうして要さんを忘れてしまったのだろう。
「美保、美保、ごめんな。辛い思いをさせてごめんな。」
要さんは、何回も何回もあやまり続けてくれた。
一応その夜、一晩入院をし、症状が落ち着いていたので、翌日は、退院できた。
その日から、私はマンションに帰った。
やはり、マンションの掃除は家政婦さんが週に2日来てもらっていたそうだ。
要さんが私の体調を考えて、もう暫く、来てもらうようにした。
本来の自分の居場所に帰って、私も穏やかに暮らし始めていた。