君の星、僕の星
帰りの電車に乗り込んだ時には、もう日は暮れかけていた。

夫は今日、夕飯を家で食べるのだろうか。
携帯電話には何の連絡も入っていない。


「……」


遠ざかる街並みを見ながら息を吐く。


『離婚』の二文字が頭を過ぎらない日は無い。
でもあと一歩が踏み出せない。



『最後のお客さんが瀬戸さんで良かったです』



さっき貰った言葉を思い出すと心にそっと風が吹く。

忘れかけていた方法で体があたためられる。



遠い故郷で美容院を営むという彼のお店が、上手くいけばいいと思う。



描きかけた夢は、いつだって道半ばで終わる。

私は電車に乗って現実へ帰っていく。
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