癒し恋~優しく包まれて~
「今日は嫌な思いをしたよね? ごめんね」

「いえ、大丈夫です」

「本当に? 正直に言って」

「正直に……でも、過去をどうとか言うのも……嫌な思いというか、私の知らない俊也さんを知っているんだなと思って、私も知りたいなと思ったりして……それと」

「うん、それと?」


どんどん距離を縮めてくるから、私の背中は壁にくっついてしまっていた。近くなるとつい目よりも口を見てしまう。


「五年も付き合ってなんで別れたのかなと神原さんと同じように思って」

「どちらかの気持ちが離れたら別れになるんだよね」

「どっちの?」

「どっちだと思う?」


少しでも前に動けば、キスしてしまいそうになる距離にまで来ていて、心臓の動きはピークに達していた。

この距離で答えなくちゃいけないの?


「わ、分からないです」

「どっちもだよ」

「えっ? そう、で……ん!」


最後まで言い終わらないうちに唇は塞がれた。追いつめられていて、身動きが出来ない。俊也さんはそんな私の腰に手を当てて、ぐいっと自分の方に引き寄せた。

唇だけでなく体全体が密着する。これでは私の早い心臓の動きが知られてしまう。
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