癒し恋~優しく包まれて~
追いつめられていたことで、私の手は壁に密着していた。しかし、引き寄せられたことによって、そこから離れて行き場をなくす。

俊也さんの唇は角度を変えるが、離れることなく、キスはより深くなっていった。

しっかり受け止めようと背中に手を回して、ワイシャツを握りしめる。

頭の隅で手の行き場が見つかって良かったと呑気なことを思うが、それどころではないのが事実。

濃厚なキスは体全体を熱くするけれども、気持ちよさに力が抜けていく。

不安に思う様々なことがどこかに飛んでいってしまい、もう何も考えられない。考えすぎて疲れていた心がキスの気持ちよさでほぐされていく。

本当に俊也さんのキスはすごい。こんなに効果があるなら、毎日業務終了後にしてもらいたいくらい。


「柊花」


唇を離してもまだ至近距離にいる俊也さんの顔がぼやけて見える。頭もぼんやりしている。


「柊花……柊花?」


呼び掛けられてもまだどこかに飛んでいっている私はただぼんやりと目の前の唇を見つめるだけ。

反応のない私を俊也さんはさらに引き寄せ、耳朶を軽く噛んだ。それで、私はゾクッとして体を揺らした。
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