癒し恋~優しく包まれて~
「はあ……」


ほとんど力が入っていない私は長いキスのあと、脱力した息を吐いた。


「落ち着いた? 安心出来てきた?」


彼の問いかけにコクリと頷く。体だけではなく頭にも力が入らない。ふにゃふにゃして思考が止まっているから頷くことがやっとだった。


「今日は慣れない役で疲れただろ? ここで休んでいていいから。ご飯が出来るまで待っていて」

「あ、私作ります」

「いいよ。今夜は俺が作るから、テレビでも見てのんびりしていて。眠かったら寝てもいいからね。出来たら起こしてあげる」


私をソファに座らせた俊也さんは微笑んで、頬にキスしてキッチンへ行った。

何もしないでのんびりしていていいなんて……どれだけ彼は甘いの?

言われた通り、大人しくしていると包丁を使う音が聞こえてきた。贅沢な気分だなとぼんやりテレビを見ているとやっぱり疲れているせいか段々瞼が重くなってくる。

でも、いくらいいと言われていても寝ては失礼になる。

両頬を叩いたり、手の甲をつねったりして、目を大きく開けようと何度もするけど、襲ってくる睡魔に勝てなく、ついうとうとしてしまう。

恋人役は楽しかったけど、確かに疲れたな……。
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