癒し恋~優しく包まれて~
私の返事が余程嬉しかったのか、父はとても嬉しそうに笑った。こんなふうに笑う顔を見たのは何年ぶりだろう。


「そうだ! ちょっと待ってて」


何かを思い出した父は仏壇が置いてある部屋に行った。

そのとき、父だけではない足音が同じ方向に行くのが聞こえた。義母も父と同じ部屋に行ったようだ。この場にはいないけど、近くで話を聞いていたのかも。

それならば、こちらに来ればいいのに。


「いいお父さんだね」

「うん、昔から優しい父なの」


父に怒られたことはない。何か失敗しても大丈夫だから、次は失敗しないよと励ましてくれた。

私はその言葉に安心して、困難にぶつかっても立ち向かっていけた。


「お待たせ。これを柊花に渡しておくよ。今度、いつ帰ってくるか分からないからね」

「何これ?」

「お母さんからの手紙だよ」


白い封筒が手渡された。表書きは『柊花へ』となっているが、裏は真っ白で何も書かれていなかった。


「お母さんから? お母さん、手紙残していたの?」


父は大きく頷く。でも、何で今出してきたのだろう?
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