癒し恋~優しく包まれて~
「柊花、ちゃんと返事をしなさい」

「あ、うん」


父に言われて、私はおそるおそるその箱に手を伸ばした。


「ありがとうございます。よろしくお願いします……!」


箱を受け取ると、腕を引き寄せられて、抱き締められた。

ちょっと、父の前なのに何を!

俊也さんはここがどこだか、父が目の前にいることを忘れてしまったのか抱き締める力を更に強める。

いつも安心できる腕の中だけど、今は違う。でも、俊也さんの言葉についいつものように答えてしまう。


「良かった……柊花、絶対に幸せにしてあげるからね」

「うん、私も幸せにしてあげる」


付き合ってまだ日が浅いけど、この人とずっと一緒にいたい。幸せな道を二人で歩いて行きたい。

と、二人だけの世界に入り込んでしまっていたが……


「ねえちゃーん。うわっ! 何してるの? こんなとこで!」


ハッ!

弟の声で現実に引き戻された私たちは急いで離れ、「あはは」と渇いた声で顔を見合わせて笑った。

こんなところで和んでいてはいけない。

父は、娘とその彼氏の抱擁を複雑な顔で見ていたようだった。
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