癒し恋~優しく包まれて~
私はコクコクと頷いた。そう、恥ずかしいんです。だから、無理です。諦めてください。

言葉に出来ないけど、分かってください。心の声がどうか届いてほしい。


「なるほどね。じゃあさ、目を瞑ってごらん」

「はい? なんで?」

「いいから、早く」


目を閉じる意味を見出だせなかったけど、急かされたから閉じる。閉じる前に入江さんがこっちへ向かってくるのが見えて、嫌な予感がした。


「そうそう、ずっとそのままでいて。俺が動かすほうに動いて。絶対に目を開けないでね」


入江さんが私の肩を抱いて、動かす。目を閉じた状態で歩くのは怖いけど、ゆっくりと動いてくれるから私もゆっくりと動いた。

それほど動いた距離はないように思うけど、どこまで動いたのかな。


「はい、ゆっくり座って」


座る?

ここには何があるんだろう?

恐る恐る座ると両方の太ももの外側に何かが触れる。ほんのり温かいこの感触はなんだろう?


「はい、開けていいよ。乾かすね」

「ええっ!」


なんてことだ……さっき私が恥ずかしいからと座ることの出来なかった場所に座らされていた。
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