癒し恋~優しく包まれて~
入江さんは顎に右手を持っていき首を傾げて、考える。


「一人じゃなかった? んー、それって……」

「一緒にいた人は誰ですか?」


入江さんが一人ではなかった事実を思い出したようだから、今が聞くとき! と訊ねることが出来た。

誰といようとそれは、入江さんの自由だというのは分かっているけど、聞かずにはいられない。ずっとモヤモヤしたままではストレスが溜まる一方だ。


「気になる?」

「はい」

「柊花が気にしてくれるのは嬉しいけど、心配することは何もないよ。あの日は相談があると約束しただけ」


にっこりと微笑んで、私の後ろ髪を撫でる。心配することはないと言われても気になるのは二人の関係。誰なのかと聞いたのに返事になっていないし。


「そうですか……」


でも、それ以上言ってくれないのなら突っ込んで聞くことは出来ない。モヤモヤは晴れないし、不安といえば不安だけど仕方がない。

入江さんは私を好きだと言ったけど、その意味合いは深いものではないのかも。

こうやって、私も見つめる瞳は大切なものを見る瞳に見えるけど、違うのかな……。
< 69 / 213 >

この作品をシェア

pagetop