癒し恋~優しく包まれて~
大事にされていると感じていたけど、実はもっと大事にしてる人がいるのかもしれない。


「柊花、言いたいことがあるなら、何でも言って。我慢するのはよくないよ」


今度は私の頬を撫でる。見つめる瞳は変わらず優しい。この瞳で見つめられると素直になれてしまうから不思議だ。

小さく頷いて、頬にあった手を握りしめた。私の行動が予想外だったのか、入江さんは一瞬瞳を揺らす。

一瞬でも動揺する姿が珍しく、そんな姿を見せてくれたことが嬉しくなる。でも、私は表情を緩めないで真っ直ぐと見つめた。


「誰なのか気になるんです。教えてくれませんか?」

「そんなふうに見られると照れるね。彼女は大学時代からの友達で、転職しようかと悩んでいてその相談を受けたんだ」

「お友だちですか……転職……まだ今年就職したばかりの私は考えたこともないけど、長く勤めると考える人もいるんですね」


仕事で嫌なことがあったり、不満があったりすると転職を考えるらしい。まだ仕事を覚えることに必死な私には考えられないことだけど、転職を考えるのは余程のことがあったからだろう。
< 70 / 213 >

この作品をシェア

pagetop