癒し恋~優しく包まれて~
彼を見送った私たちはエレベーターに乗り、顔を見合わせて笑う。


「アイツ、さすがだよな」

「そうですね。九時には寝るって言ってましたよ」


岩田くんには悪いが、岩田くんをネタにして笑った。


「今週はバタバタしていたから、金曜になるのが待ち遠しかったんだよね」

「忙しそうでしたものね。お疲れさまでした」


入江さんは本当に忙しくしていたので、ほとんど話をしていなかった。今夜のことも昨日までなんの連絡もなかったから少々不安になっていた。

でも、同じように今日を楽しみにしていた。

今度こそ気になっていることを全部聞こうと思っている。食事の時間が楽しくなくなるかもしれないけど、いつまでも不安な気持ちのままでいたくはない。

答えによっては、一緒に食事をすることでさえもなくなると覚悟はしている。

オフィスを出ると冷たい風に吹かれ、ブルッと体を震わせた。


「柊花、マフラーは?」

「あ、忘れてしまいまして」


今朝、手に持って玄関まで行ったのだが、時計をしていないことに気付いて部屋に戻ったときにソファに置いて……そのままで出てきてしまった。
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