空色(全242話)
『あ~、でもマジでいいよぉ、幸成くん』
美香は自分の顔がどうなっているか、わからないのだろうか。
目は虚ろ、口は今にもヨダレが垂れそう。
頬なんかリンゴ病みたいよ?
でもそんな美香がたまらなく可愛く見えた。
こっちまで幸成が素敵だと錯覚するくらい、幸成への気持ちが伝わる。
本当に恋をしてるんだな、と寂しくもあり羨ましくも思った。
私は14歳のあの日以来、どうも恋愛というものに不信感を拭えない。
また騙されるんじゃないか。
捨てられるんじゃないか。
あの夏から、恋に対し、歩くのをやめてしまったようだ。
……あれ?
そういえば、あのメールは?
【幸成くんと付き合うかも】
キス未遂なら、どうして美香はあんな事……
『ねぇ美香。 幸成と付き合うかもって? あれ何なの?』
私はまだノロける美香の肩を揺さぶり、本題へ戻した。
『あ、実はね? 幸成くんがそう言ったの』
『え?』
『「彼氏でもない男にしない方がいいよ、男って走ったら止まんないから」って!』
いや、だから何?
付き合うなんて一言も出てないし。
いまいち理解できないまま、またもや美香のノロケへと移行する。
駄目だ。
ラチがあかない。
『ねぇってば! 付き合うなんて話出てないじゃない』
どうも私は短気で良くない。
美香の話をじっくり聞いてあげるつもりで来ておいて、自分の疑問の答えが知りたくて仕方ない。
『あ、そうそう。 そうだった!』
ようやく美香は本題から反れた事に気付き苦笑いを見せる。
『その後に「美香ちゃんが彼女なら俺も遠慮しないんだけどね」な~んて! もうカッコよすぎだよね!』
……ノロケかよ、結局。
そんで「付き合いたーい」なんて思ったわけだ。
幸成のやつ。
わざと期待させるような事するなんて、やっぱり最低なやつ。