空色(全242話)
十和の後に来たのは、馴染みのお客さん。
袋井さんといって少し小太りのおじさん。
甘えん坊で、皆の間では「マザコンじゃないの?」と疑惑の人だ。
『指名ありがとー。 何だか久しぶりだね?』
笑顔を見せながら袋井の上着を受け取り、ハンガーにかける。
『半月ぶりかな? でもアユちゃん指名が1番多いんだよ』
『本当? 嬉しいなぁ』
袋井はハシゴするタイプで、BabyDollと他のお店をローテーションしているらしい。
場慣れしている客は扱いやすい。
システムも理解しているし、無茶もしない。
いわば安全な客といえる。
『ね、口でしてほしいなぁ? アユちゃん上手いんだもん』
袋井はそう言って私の手を股間の膨らみにもっていく。
ジーンズの硬い生地を通しても、そこが硬くなっているのが解った。
『いいよ。 でも、先にお風呂に行こう? 私が綺麗にしてあげる』
チュッと軽く膨らみに口付け、彼の手を取る。
べたっとした彼の手は正直、気持ちの良いものではなかった。
『アユちゃ、ん、最高だよ……ッ』
シャワー室で汚れを落とし、ベッドでご奉仕。
袋井は負けずと私にも快楽をくれる。
ぐちゃぐちゃに掻き乱される胎内の音を聞かぬふりで、懸命にタイムリミットだけを願った……
『お疲れ様』
帰り際、藤原が私に1枚の茶封筒を差し出した。
給料明細だ。
『今月は指名も増えてたし。 多少、色つけといたよ』
藤原はそう言って、また受付けの仕事に戻る。
普通のアルバイトじゃ稼げない多額の給料……
それを貰うためなら、何だって出来た。