空色(全242話)
『う、くッ アユちゃんッ 気持ちいいよ……』
ここに入って最初に覚えた事。
それは口でのご奉仕だった。
『もっと もっと奥まで……ッ』
ただ男を受け入れるだけじゃ、売り物にならない。
本番禁止のこの店でやっていくには、テクニックが必要だ。
だからフェラも素股も覚えた。
この体で思い通りにならない事は1つとして無かった。
『今日も最高だったよ』
よく来てくれる客の1人、名前は正確に覚えてないけど、皆からノンチャンと呼ばれてる。
『また必ず来るよ』
ノンチャンはキスをすると同時、私の手に何かを握らせる。
『今日の御礼。 お店の人には内緒だよ?』
まだあまり折り目のついていない綺麗な1万円札。
私は代わりに満面の笑みを見せた。
『ありがとう』
少し、初体験の日を思い出した。
あの、ボロボロの一万円札を……
でも今日の札は綺麗。
どこも擦り切れてないし、綺麗なお金だ。
あの時とは違うって、妙な安心感を覚えた。
こうして、この体さえあれば好きな物が手に入る。
金も物も、幸せさえも……
ずっとそう思っていたし、これからも思っていくつもりだった。