空色(全242話)

十和が初めて来てから、10日目の夜。

『久しぶりー、アユ』

また、この店に十和がやってきた。

『今日は100分でお願い』

十和はそう言うと、上着を脱いでベッドに寝転ぶ。

この間の倍の時間だ。
セックス無しではとてもじゃないけど耐えられない永い時間ね。

『フカフカ~』

馬鹿ね。
さっきまで、そこに他の男が寝てたのよ?

そんな気持ち良さそうな顔しないで?


『一緒にシャワーどうですか?』

お馬鹿な十和のシャツのボタンを1つ、また1つと上から順に外していく。

4つ目に差し掛かった時、十和は私の手を掴んで止めた。

『んな事より、アユにお土産』

手を掴んでいないもう一方の手で、持ってきたトートバッグを取る。

そこには銀色の缶が4つほど入っていた。

『ビール?』

『当たり。 前に飲もうねって言ったじゃん?』

でもだからって、こんなもの……

『ここは風俗だよ? 飲み屋じゃないの』

『関係ない。 俺はアユと話しに来たんだから』

トートからビールを出そうとする手を止めて十和の目を見る。

こんな事がバレたら、また酷い事をされるだろう。
十和だって、無事に済まないかも。

でも……

『部屋は駄目。 シャワー室行こう?』

『え……?』

『この店、部屋は常に監視してるから……』

私と話をしたいと思ってくれた事が何だか嬉しくて、

十和を追い出す事が出来なかった。
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