空色(全242話)

肌寒い季節だというのに早苗は素足。
その足元はおぼつかない様子で、男達に頼りながら歩いていた。

泣き腫らしたのだろうか……
店にいた頃の美しい早苗は今、顔のむくんだ醜い姿をしてる。

ツーンと鼻の奥、
目頭の辺りが熱くなる。
しばらく忘れていたけど、あれから真吾くんの姿を見た者はいない。

……最悪の事態が頭に浮かぶ。

彼はもう、この世にいないのではないか?


『美香、行こう』

その思いを振り切るよう美香の手を引いて、立ち去ろうとする。
その時だった。

『アユッ 待っ……きゃあ!』

茫然としていた美香は、手を引かれた事でドシンと地面に尻餅をついてしまったのだ。

『ッ誰だ!!』

それと同時、男達は一斉にこちらを向いた。

やばい。
見つかったら私達まで……

『美香、立って! 早く!!』

足に力が入らないのか美香は座り込んだまま。

『ッ死にたいの!?』

私はそんな美香の腕を強引に引っ張って立ち上がらせ、必死に逃げた。

『もっと早く!! 早く走って!』

早苗は私達の先輩。
何だって教えてくれた。

客の喜ばせ方。
店のシステム。
私達に強いられた掟……

『……ッ早苗』

でもごめん。
私には助けられないよ……









『ハァ……くっ……美香、平気?』

男達をまいた後、道路に座り込んで美香を見た。
美香は息を切らし、まだ上手く喋れないようだ。

掟を破った早苗。
いつになったら償いが終わるのだろう。

『ハァ……早苗、どうなっちゃうんだろう』

油断してはいけない。
あの早苗の姿は、未来の自分らなのかも知れないのだから……
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