空色(全242話)
甘い甘いチョコレート。
舌の熱でとろけて消える。
まるで私が思い描く夢みたいに……
《では、今日一日を振り返ってみましょう》
初めて出会った日のように2人、小さな携帯の中に映る番組を覗く。
調度、夜のニュース番組の時間だった。
殺人、誘拐、ユニークな事件まで、
今日を振り返っていく。
今日は私、何をしただろう。
夕方起きてメイクして、
そして店に来る。
今日は2人を相手した。
一日を冷静に整理すると、とてもつまらないものに思えた。
『今日は、何してた?』
『へ? 俺?』
突拍子のない質問に十和は少し驚いたような声を出す。
『うん。 起きてから私に会うまで、何してたの?』
何を期待しているのか、自分でも解らない。
もしかしたら少しだけ見てみたかったのかも知れない。
つまらない自分と違う、他人の一日を……
『朝は昼近くに起床。 それから適当に支度して、今日は病院行ったかな』
『病院?』
『うん、知り合いが入院しててさ。 でもつまんなくて、屋上で煙草ふかしてたけどね?』
バツの悪そうに苦笑する十和。
『屋上……かぁ。』
今日は晴天。
きっと綺麗な空が見えただろう。
私はもう空の色を覚えていない。
夜が永くて、青空なんて忘れてしまった。
青かったのか。
白かったのか。
それすら覚えがない。
『空……見たいな』
目を閉じても、思い出すのは夜の空。
厚い雲が月を隠す。
私と同じ。
決して晴れる事はない。
『見にいく?』
十和は突然そう言うと、私の髪をクシャクシャっと撫でた。
『ちょッ やめ……』
抵抗しながら、やっとの事で顔を上げる。
そんな私の目に映ったのは、顔を赤くして照れたように俯く十和の姿だった。
『一緒に見よう? 青空を……』