空色(全242話)

延長時間は30分。
その間、私達は話をした。

今度見に行く「空」の話を……

『じゃーん』

十和は携帯の画面を私に向け、得意げな笑みを見せる。

画面には青と白。
これは、

『空?』

『当たり。 カメラマンは俺ね』

カメラマンって……
ただの写メじゃん。

『でも綺麗……』

電線もビルも写っていない。
画面いっぱいに広がる空がとても綺麗。

『こんな都会でよく撮れたね。 ビルも電線もいっぱいなのに』

『まぁね。 それ屋上で撮ってるから』

『屋上?』

だからか。
だから何も写っていないんだ。

『早くアユに見せたくてさ。 暇見つけて店に来たってわけ』

『そっか……』

こんな事のために、お金を。
考えれば考える程、胸が痛い。

どれだけ金を使おうとも、それは客の自由。
向こうの責任。

いつだってそう思ってきた。

『勿体ないよ。 こんな事のためにお金使って』

でも何故か、十和には申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

『全然。 アユに出会わなかったら、きっともっと無駄に金使ってた』

そんな風に言わないで。
私はそんな綺麗な人間じゃない。

『あの最初の日、アユに会って良かったと思ってるよ』

『十和……』

「良かったと思ってる」

だったらどうして?
どうして、そんなに悲しげに笑うの?

どうして……

『また色んな写メ撮ってくるよ。 海とか山とか』

『……うん』

私、十和がよく解らないよ……
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