恋人は魔王様
「ほら、見てごらん?」

キョウに言われて、しぶしぶ自分の左手に目を移す。

……うっそ!!
私は出来の悪いパソコンみたいにフリーズしてしまう。

そこには、ダイヤモンドに彩られた黒曜石の素敵な指輪が、確かにあった。

「これ、人間の気が強くなると見えなくなっちゃうんだよね。
ユリアがあの夜抱かせてくれたら、ずっと見えたのに」

……そ、それは拒んだ私に非があるのでしょうか?

「じゃあ、メールは?」

しゃくりあげながら、私が問う。
キョウはポケットから黒のケータイ電話を取り出した。

「俺がママに送ったメールって、これだよね?」

+++++
いつもお世話になっております。
京極です。
突然ですが、百合亜さんと今までのようにお付き合いするわけには
行かなくなってしまいました。
また、時機を見てご挨拶にお伺いする所存ではございますが、
とりあえずお知らせまで。
尚、季節柄ご自愛下さい。
+++++

「そう、これよ」

「どこにも別れるなんて書いてないけど?」

「今までのようにお付き合いするわけには行かないって書いてあるじゃない」

「ああ、それ?」

くすり、と、キョウが笑う。

いやいや、笑い事じゃないってば!

なのに、唇に手まで当てて楽しそうに笑ってるんだもんっ。

最低だ、最低。
悪魔の笑いって、もしかしてこういう快活そうに爆笑することを指す言葉だったのかしら。

やれやれ。
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