[BL] ずっと君の側に
秀太さんは、涙ぐませながら――。


「太陽の葬儀の時。

多くの人が集まってくれた。

こんな大勢の人に好かれていたんだって、思ったら、アイツらしい……。


けど、政晴君を抱き抱えながら、太陽の遺影を見ていた円ちゃんになんて声かければいいか分からなくて

ただ、見ていることしか出来なかった。


それから、円ちゃんは実家に戻っていってからは、疎遠になってしまってね

太陽の墓に来て、月命日に花が手向けてあることで、安否確認をすることしか出来なかった。

でも、あるとき
ぷっつり途絶えてしまったんだ」



秀太さんは、言いにくそうにしていた。

思い出しているのか、今にも泣きそうな顔で一生懸命話してくれる姿に、

俺は、黙って、次の言葉が紡ぎ出されるのを待つことにした。



「あの時は、舞台で日本全国をまわることになって、四ヶ月間行けなかった。

それで、久々に墓参りに行くと、花も手向けていないし、なにか違和感を感じて、お墓の名前が掘ってあるところをふっとみて、驚愕した。


そこには、円ちゃんの名前が掘ってあったから――。


そこで、亡くなっていることを知ったよ。


それと同時に、君のことも気になった。

政晴君はどうなったのかって――。


円ちゃんは、
実家に戻ったけれど、確か、ご両親は亡くなっていて、家だけがある状態って言うのは聞いていたから――。


けど、その実家が何処にあるのかも、知らないし、高校の同級生に聞いても、皆分からないって言ってたから、知るすべが全く無くて……」



秀太さんは、俺の目をみて――。



「だから、政晴君にあった時。
今言ったこと全部、頭の中に流れ込んできて、思い出したんだ。

本当に嬉しかった」



満面の笑みを向けられた。

嬉しかったっと言われて、こっちも暖かい気持ちになった。



「政晴君、大丈夫?」



何故、そんなに心配しているのか


直ぐに分かった


俺は、大粒の涙を流していた。



「大丈夫、です」



どうでもいいはずだったのに、

興味のないことだったはずなのに、


どうして、こんなに悲しいことなのに、

両親がどんな人か、聞けて、嬉しいと思っているんだろう。


嬉しいのに、どうして、涙が止まらないんだろう。





そのあと、落ち着くと、店を出て、また、車に乗った。



「ありがとうございました。
両親の話が聞けて、嬉しかったです」


「それは、良かった」



それだけ言うと、車が発進した。



それから、会話は無かったけれど、和やかな空気が流れていた。


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