豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
「この分だと、俺の作った服を着れるようになるのは当分先だな」

結局、レアチーズトリュフマカロンを二人分のお皿に分けながら、玲は言う。

「え? 玲の服?」
「お前、約束、忘れたのか?」
「約束? 何かあったっけ?」
「俺たちが学生だった頃。約束しただろう。俺のデザインした服をお前が着るって」

やばい、全然覚えてない。
そんなロマンチックな感じの約束、したっけか?
記憶を手繰ってみても、全っ然出て来なくって。

「……う、うん」

取り敢えず頷いてみたものの。

「覚えてないんだろう。無理に頷かなくていい」

あっさりと見破られた。

はい。すみませんでした。

「ちなみに、お前がまだMサイズだった頃の話だ」

太ったって言いたいんでしょ、いちいち言わなくてもいいよ、うるさいなぁ。


「っていうか、玲のデザインする服って、フリフリひらひらのものすごくセクシーなヤツでしょう? 私じゃ、似合わないよ」
「Mサイズのお前なら似合うだろう」

はい。今はLサイズです。ごめんなさい。

「だが。このままだとMサイズに戻すのは無理かもしれないな。いっそのこと、Lサイズ展開を部長に打診してみるか。それはそれで需要が見込めるかもしれない」

え。私のために、ブランドの規格まで変えちゃうの? それはちょっと申し訳ないよ……

「むしろ、俺が独立してブランドを立ち上げるか。大きいサイズ専門ブランド。最近増えてきてるしな」

え。待って。私の体重のために玲がそこまで身を切る必要ないよ。

「すみません、私が痩せます。だから思い留まってください」
「……そうか?」

なんだかちょっと口惜しそうに頷く玲。
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