豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
「まぁ、お前の着る一着くらいなら、俺の手の空いた時間に作ってやれないこともないしな」

そう言って玲がおもむろに立ち上がった。
隣の寝室に行ってクローゼットを開けて、中から取り出してきたのは、一着の黒いワンピース――というより、もはやドレスだった。
裾がひらひらと幾重にも重なって揺れている。まるで、薔薇の花びらのよう。
ウエストはキュッと締まっていて、花の模様のレースから下地の白が透けている。

「これ……」

数日前。
私がこの部屋で見た、玲のデザイン画。
それがそのまま、服になっていた。

「試作品だ。無理言って、一つだけ大きめにパターンを引いてもらった。後は俺が縫製した」

「玲、ドレスも縫えるんだ。すごいね……」

「……着てみるか?」

え?
だって、これ、お腹も腕もレースで透け透けなヤツでしょう?
私着ちゃって大丈夫?
お肉、酷いよ?
目に毒だよ?

私の心の中を読んだかのように、玲がフッと吹き出す。

「大丈夫だ。お前用に改良しといたから、透けることはない」
「そ、そっか」

一安心。醜いお肉を白光の下、晒さなくて済む。
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